総集編5回め、素人が個別株に魅せられる理由、強い情報バイアスがかかっているから
2020年10月9日(金)記述
米国株も一時的な調整を経て戻ってきましたね。
弱気になって投資を縮小するのは賢明な選択ではないでしょう。
さて、私もバイクにも乗りますしいつまで書けるか、発信できるかもわからないので思っていることを全部出しますね。
あまり視聴者の方に受けない内容であることは承知しています。
しかし動画に広告も貼っていないので視聴者数を気にすることもないのです。
実はこの広告収入とか視聴者数、読者数というのが今回の鍵になります。
といって媒体やインフルエンサーの方々を非難するつもりは全くありません。
単に個人投資家、凡人投資家の自衛の目的です。
個人投資家が個別株に魅せられるわけは2つある
1 もともと人間の本能として、願望として射幸心を持っている
株式投資はトータルがプラスの世界ですが、還元率が50%ない宝くじにも愛好者はたくさんいます。
その中には「還元率」ということを知らない人もいるでしょうが、知らされても気にしない人も多いです。
「夢が見れる」という理由ですね。
意外でしょうが「生命保険」も宝くじの一種だと言われていますね。
だから家計見直しではFPの方はまず必要以上の保険を外そうとします。
しかし「もしものときにもらえるから」という理由で保険の愛好者は多いです。
確率計算が面倒なこともあるでしょうね。
しかし立派なビルを多く持ち、高給の社員をたくさん抱えて、テレビ宣伝をバンバンやっている時点で「売るサイド」にメリットが多いシステムだということはわかります。
これは競馬やパチンコにも当てはまりますね。
競馬などはちゃんと還元率が明示されています。75%くらいですかね。
確率的には、統計的にはプラスにはなりません。
しかし人間は、特に一部の人は合理的、数学的には思考、行動できないのでこれらの産業がなくなることはないです。
人間の本能に基づいているのですね。
したがって「心地よい願望」には気をつけなければなりません。
2 投資で心地よいのはなんだろう?
心理的に強いバイアスがかかる分野があります。
(1)家賃収入の魅力
都会に住んで家賃を払っていれば、当然もらっている方がいいなと感じます。
なので不動産を所有して家賃収入を得るというのは願望にかなった投資、資産運用です。
そのためこの分野の本、宣伝、専門家、情報はたくさんあります。
「不動産投資は儲からない」「やめとけ」みたいなのも中にはありますが、圧倒的多数は「儲かっているグループ」です。
ユーチューバーでも不動産関係の人気の方は多いです。「うらけんさん」「もふもふ」さんなど。行動力があり訴求力が強いのが特徴ですね。
周りに不動産投資で収入を得ている人がいる場合は「自分もいつか大家さんになりたい」という圧力が常にかかっています。
なので「いい話」がある場合は乗りやすい心理状態になります。
だから数字上の有利不利よりも先に「結論」が来てしまいます。
そんなに有利な物件が末端のあなたに向こうから舞い込むことはないのですが、そのことに気持ちが回りません。
「有利ですよ」という営業トークの裏をとることはおろそかになります。
「有利」というのは立場によって何とでも解釈できる便利な言葉です。
かくして割合は知りませんが一定の割合で「ひどい目にあう」投資家が出ます。
テレビで不動産関係の詐欺事件が報道されても「俺は違う」と思うので「不動産に対する熱」が冷める理由にはなりません。
冷めるのは実際に所有してトラブルに合った時です。あるいは売ろうと思って価格を調べた時です。
結論 不動産業界全体としては「不動産」を推す圧力が強い。
→私達は「不動産推し」のムード、環境の中にいる。
(2)配当収入も家賃と同じくらい強い魅力がある
不動産より簡単に始められるものに「配当投資」があります。
対象は不動産リートや債券、そして株式です。
この中では元本自体の値上がりの可能性が高い高配当株式投資は一番魅力があります。
本人自体が強い魅力を感じているので、それを実践している人、年300万の配当がある、5百万あるという人には人気が集まります。
だからブログ、動画、本にも多いです。
発信サイドにとっては「追い風」があるので「過大評価」高評価につながりやすいです。
かくいう私も高配当株投資をやっていた時は実績が大した事ないにも関わらず多くの賛同を得ていました。ブログ村でも上位でしたね。
だから高配当から転換した時は「非難轟々」でした。
つまり私達は自分が得たい方向の情報をインフルエンサーから得ているわけですね。
発信サイドからすると受け取り側の「心の渇望」に応えるのは当然です。
結論
配当収入、配当投資についても私達は強い影響下にいる。
無関心なのは経験してうまく行かなかった経験者だけ。
経験者のことばは不快なので読者の耳には届かない。
(人気がなく視聴者数が少ないため)グーグルでもツイッターでも人気のインフルエンサーが上位にくるようになっている。
→被害者が減ることは永遠にない。
♣高配当株投資が良くない、と言っているのではないですよ。
私達は強いバイアスの影響下で投資行動をしてしまうことが問題だと言っているのです。
戦前の軍国主義では言論統制でした。現代ではそれはないですが、需要と供給の市場原理で情報が偏っているのです。
♣発信者の責任ではなく受け取り側の責任だ。
2 個別株投資を推したい人々は圧倒的に多い。
個人投資家がすべてインデックス投資になった世界では投資家以外だれも得しません。
VOOの年間経費は0.03%で20年ほど前の投信の1.5%の手数料の50分の1です。
スリム先進国も0.1%を切っていますね。
さらに買いの手数料もVOOは無料です。
関係者のだれが得しますか?
世界の株式投資関係者はブラックロックとバンガードとあとコンピュータが数台あれば回ってしまいます。
もちろん投資雑誌は売れません。ブロガーもユーチューバーもあがったりです。
わずかにインデックスの買い時、売りどきを予想する人たちが残るのでしょうね。
WSJや日経新聞も困ります。株式欄が不要になりますからね。
つまり業界としては個別株が栄えることは全体の利益なのです。
上記と同じように私達素人投資家は強いバイアス、影響下に置かれていることになります。
だからまるっきり更地の状態の方には「個別株投資」はかさ上げした状態でイメージされます。
実際私もでしたが、新規参入の方の「個別株」に対する関心は高いです。
だからふつうの進度をとれば初心者が「個別株」を始めるのは自然の流れです。
前回の記事のようにそれが数学的に統計的に有利でなくてもです。
(1)個別株投資に疑問を持つのは経験者だけ
動画では視聴者の多くはその道の初心者です。
その分野をよく知っている人がわざわざ人の動画を見ることはないからです。
株式投資では動画の視聴者の多くはバイアスの影響下に置かれた初心者なのです。
多くの人気動画は「これから上がる株」「この分野を狙え」「これで私は儲けた」みたいになるのは必然なのです。
(2)経験が浅いほど短期で儲かる株に興味がある。
テスラやズームみたいに短期間に何倍にもなる株もあります。
そういう大きく伸びる株の候補さえ教えてもらえば誰にでもできそうに思えます。
少なくとも初心者の人はそう思うでしょう。
有力な株を例えば10教えてもらって投資すればインデックスをオーバーするのは簡単に誰もが思います。
これはやってみたらあるあるですね。
順調に伸びてきたかに思えるアップルやアマゾンにも不調な時期はあったのです。
結果として何十倍になっています。
有力株候補もチッカーだけ教えてもらってうまく行かないことは経験者ならだれでも知っています。
しかしある程度の経験を積まないとそれが難しいことには見えないんですね。
だから半分はVOO+QQQで運用して比べるのはとても有効です。
上記のように「個別株推し」の環境にあることも大きいですね。
それに逆らった動画は上位には行かないので目に触れる機会がないのです。
もっとも「損をしたくない」という本能はより強いので「暴落するぞ」というのは視聴回数が多いですね。
結論
私達は強い「個別株推し」のバイアスがかかった環境にいる。
個別株のデメリットを関係者が出すはずがない。自分たちの首をしめるから。
個別株のデメリットな情報は拡散しない、特に初心者には
♣そういう経験談を聞いても「それはお前が下手だからそうなのでおれは違う」
と初心者は思うのですね。
♣ちょうどサッカー少年がケガとかでうまく行かなかった元プロに「プロは難しいぞ、運もあるしな」とか聞いても「それはおっさんの場合だろ?おれはちゃんとやる」と思うのと似ていますね。
3 個別株投資の順序が逆になっている矛盾
数学的統計的成功確率、コストの安さ、精神的コストの低さで言えばなんのバイアスも無ければ初心者は「インデックス投資」から入るのが妥当で自然です。
そして経験を積み成功を収めてから、一部を個別株で運用してより高いリターンを目指すのが理想です。というかこれも自然です。
しかし実態は逆になっています。
初心者の多くが個別株、高成長株、高配当株から入り、うまく行かなくてインデックスで出直す、あるいは投資をやめる流れです。
これはかつて学校での性教育がなされなかった時代に先輩やおじさんからのでたらめな知識、「女はいやがっていても実は待っている」とかの非科学的で無責任な状況と同じです。
経験を積まなくても「バイアスなし」で自分に適合した投資が選択できるようになるといいですね。
今回は以上です。長くなりました。動画のほうが見やすいかも知れません。
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