株式益利回りってなあに?配当との関係は?【だれでもできる米国株第31話】
いきなり質問ですが「株式の益利回りはどうやって求めますか?」
「えっ、なにそれ?」って方も多いかも知れませんね。
わかりやすくいうと買った株が一年間にいくら稼ぐか?という%です。
100万円投資してその株が5万円稼げば5%の益利回りになります。
100ドルの株があってepsが5ドルなら5%の益利回りです。
これが株主の「取り分」になります。
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株主の取り分はどう分配される?
確認しますがepsは「株主の取り分」です。
だからepsがいくらあるか、そして将来的にどう増えていくのか?
が株主にとって1番大事なことです。
このことの理解には結構時間がかかります。
あまり関心がない人が多いです。
というのはepsがすべて株主の口座に現金で振り込まれるわけではないからです。
epsの分配を典型的な米国株で図で表しますね。計算が簡単なように100ドルの株価でepsが5ドルのモデルで示します。
1株あたりの純利益 EPS5ドル(株主の取り分)
→①現金配当→税金を除いて現金で株主の口座に振り込み、例2ドル
→②自社株買い→市場から株を買い取る→発行株式数が減って株主に利益、例1ドル
→③設備投資、M&A資金→将来のために設備投資や企業買収をする、例2ドル
→④内部留保→企業の内部にお金でためておく、例0ドル
①の場合は配当性向は2ドル÷5ドルで40%です。
①と②を合わせた3ドルが総配当性向(総還元性向)といいます。この場合は60%
①と②が株主が直接受け取る利益です。
①は理解できますが②はわかりにくいです。
しかし株主としては②の方がメリットは大きいです。その理由は
(1)税金として流出しない
(2)株数の分母が減るのでその分株価が上がる
大抵は計算以上に上昇することが多いです。浮動株を買い取るからです。
(3)配当として流出せずに株価の中にとどまるので「含み益」が増える。
素人は配当をもらうよりも含み益が増えるほうが、株を保有しやすく安心感があります。(人によります)
♧epsは来期の予想で表されることが多いです。予想epsです。
そして株価を予想epsで割ったものが予想PERになります。
予想PERがわかっていれば益利回りはその逆数(1÷予想PER)で求めることができます
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設備投資や企業買収は業界によって事情は違う
③の設備投資、企業買収はすでに業界の順位がほぼ決まった業界、従来型の業界、生活用品とか化粧品とか飲料とかタバコとか、とハイテクでは全く様相が異なります。
ブランドが確立された会社では、コカコーラとか、生産設備に投資は要らないので稼いだepsは配当として配っても問題ないです。
またこれから将来の稼ぎも予想が付きやすいので配当も高く設定できます。
配当を下げるのはかっこ悪くて経営者の手腕が疑われるからです。
だから従来型の会社では高配当の会社が多くあります。
安定して高配当が得られるので人気が高いです。
だからやろうとしている人も多いはずです。
しかしちょっと待ってください。
それは最終的に選べばいいので急ぐ必要はないと思うからです。
「配当を得ることを目的」としてしまうと株式投資の全体像が見えなくなってしまいます。
アーリーリタイアをしたいとか退職後に配当収入が得たいとか、特別な事情ができた時に取り組んでも遅くありません。
働いている方は現金収入は要らないはずです。
リタイアしても年金でどれだけ不足するかは前もってはわかりません。
ニュートラルな形で投資をする方がわかりやすいと思うのです。
納得はなかなかされないでしょうが。
配当を出しにくい業界も多い
まだ業界内で順位が決まってなかったり、開拓の余地が大きい分野ではし烈な競争があります。
業界での椅子取りゲームですね。
ハイテクでは特にし烈です。
業界を牛耳れるかどうかはとても大きな問題です。
検索でもそうですが一旦占めてしまえば独占できます。
現在の米国の大手ハイテクでは決着がほぼついた分野も多いですね。
決着がついて独占、寡占になれば儲けは莫大です。
収穫期に差し掛かった分野もあるのでハイテク大手の稼ぎが急拡大して、株価も上昇しているのです。
しかしまだまだ入り口だと思っています。
しのぎを削って争っている分野では、設備投資や企業合併をケチってはいられません。
だからハイテクでは安定した「配当」は約束できないのです。
少ないかあるいはグーグル、FB、アマゾンのように無配も多いです。
配当が少ないことで「株主軽視」とか「魅力がない」と判断するのは早計です。
そう思ってしまうとハイテク分野には投資できなくなってしまいます。
従来型産業が悪いわけじゃあないですが、まずは全体を公平に見たほうがいいと思うんです。
今ハイテクの株価上昇がすごいから「注目しよう!」と言ってるんじゃあないです。
米国の「大きな新産業革命の果実をわざわざ逃すことはない」と言ってるんです。
その理由が「株主還元が少ない」ということなら完全な誤解だからです。
ハイテクの株主還元は配当とは別の形で行われる
見た目の配当は少なくともハイテク各社もしっかり株主に還元しています。
だから安心していいです。
配当の形を取れないのは、設備投資や企業買収は年により、状況により出入りが激しく予定が立たないからです。
だから状況に応じて、あるいは競合の動きを見て、となります。
③の設備投資、企業買収が順調ならそれはそれで将来の企業価値を高めます。
またお金が余れば、米企業は日本の企業のように内部留保しないでさっさと株主に配ります。
不定期の株主還元は自社株買いで行われる
バフェット率いるバークシャーが5%を保有するアップルではバフェットの提言もあり度々自社株買いを実施しています。昨年2Qでは750億ドル、8兆円超の自社株買いをしています。2019年までの7年間で33兆円の自社株買いを実施しています。
トヨタの時価総額より多いです!
これらは手元にある資金だけでなく、借り入れや社債を発行して行われる徹底ぶりです。
MRX/公認会計士さんのツイッターによると米S&P500社で24社が配当や自社株買いで「債務超過」状態とあった。超過額は7.2兆円。
ボーイングやフィリップモリス、マクドやスタバなど有名所もある。
キャッシュフローが安定して見込めるからだろうがやややりすぎの感もある。
500兆円もの内部留保をしている日本企業とは全く違う世界なのです。
わざわざ株主軽視の日本企業に投資する意味はありません!
内部留保は株主のものですから!
話はそれましたが、つまり経営者がどこかに溜め込んで株主に還元しないという心配は米企業ではしなくていいです。
ならば、効率的に使うなら「配当」にこだわる理由は一つもありません。
配当は考えから除外していい
という根拠です。
配当にこだわらなければより広い視野で投資ができます。
④の内部留保についてはしたがって米企業はとても小さいです。
米大企業は金融緩和なので低利でいつでも借り入れが可能なので手元に大量の現金を置く必要はないのです。
そんなことをしている経営者は「無能」と株主から判断されてクビになるでしょう。
それを適用すると日本の経営者はほとんどがクビですね(笑)
配当はとりあえず見ないようにする!
配当には株価の動きをマイルドにするとかの役目もありますが、とりあえずは判断材料から除くのがわかりやすいと思っています。
魅力がアリすぎるがゆえに引きずられるからです。
その代わり見るなら①売上推移②純利益③epsの3つに絞るとわかりやすくなります
純利益とepsは同じになりますが、自社株買いが行われるとepsは純利益よりも大きく伸びます。
それも面倒なら1÷予想PERで予想益利回りを求めて自分が納得できればOKです。
私の基準は米インフレ率2%を上回っていればとりあえずはOKです。
配当を除外することのメリット
複雑に思える株式投資も
1段階 日本株をしないならその分をカットできます
2段階 インデックスETFやETFを使えば個別株情報もカットできます。
3段階 永久投資なら売買をしないのでトレードやチャート学習をカットできます
4段階 配当を条件から外せばさらにカットできます。
まずは株式投資の基本と原則に絞って学習し、投資を実践してうでを磨く戦略です。
出回っている株式投資関連の情報の95%以上をカットできます。たぶん1%くらいに絞れると思います。
最初からベストの投資を目指す必要はないです。
さらにシンプルな投資でも上位20%には確実に入れるでしょう。
昨年の例だとVOO+QQQ+VGTで4:3:3で年39.5%のリターンです。
リターンで見れば上位5%以内だと思いますね。
個別株も的を絞れば少なくてすみます。
いかがでしょうか?
複雑で嫌だと思っていた方の助けになりましたでしょうか?
先日地元の方で米国株に取り組もうとされる方と話をしました。「勉強することが多い」とおっしゃっていたので「極限までシンプルにすればいいのでは」と思ったのです
それではみなさまの投資が順調に進むことを願って記事を〆ます。
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