債券のあらましとおすすめの利用法【だれでもできる米国株第12話】
債券は株式の補完になるって聞いたけど?
債券については誤解が多いです。
そこで今回債券のあらましと、凡人にとっての手頃な投資対象を選びましょう
とはいえ変動が少ない以外は素人には魅力が少ないと感じますね。
がっかりなさいませんよう、初めに言っときます!
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まず質問です
Q1 債券の価格が上がると利率はA上がる、B下がる
Bですね。
株と逆なので面倒です。慣れるしかないですね。
Q2 長期金利とは何?そして今いくら?
10年国債の金利です。発行された時の額面金利ではなくて市場でつけられた値段です
現在の米国では1.8%程度。インフレ率より若干低いです。日本はマイナス0.1%程度
マイナスとなると頭がこんがらがります。満期まで持っているとマイナスなのですから。
Q3 短期債券と長期債券、変動が激しいのはどちら?
これは難しいですね。
答えは長期債券です。
期間が長い分金利の変化をまとめて合計で受けるわけですね。
ということは先日やった「標準偏差が低いのは?」
→短期債券です。
短期の方が変動が少なく安全度が高いですね。
Q4 長期金利が上昇した、債券価格は上がるか下がるか?
これは下落しますね。どうも債券の世界はイメージと逆になるみたいですね。
理由は債券についている額面の金利の魅力が薄れるからです。
逆に市中の金利が下がれば有利になり値上がりします。
Q5 短期債券、長期債券、金利=配当が高いのはどちら?
これは長期債券ですね。
Q6 国債と社債、信用力が高いのはどちら?
これは簡単でしたね。国債です。
社債には格付けがあります。
Q7 ちょっとむずかしいのを。格付けがBBBの債券は適格、それとも不適格債券?
はい、BBBが適格債券の下限です。
それ以下の債券は不適格債またはジャンク債と呼ばれます。
Q8 株式市場と債券市場、規模(金額)が大きいのはどちら?
これは債券市場です。2倍以上の規模があります。
東京株式市場はあっても東京債券市場がないのは、金融機関の間で売買するからです。
Q 9 債券を買っているのはどんな人?
これは金融機関ですね。預かったお金を運用するためです。
Q10 債券はどうやって買えばいい?
単独の例えばトヨタ自動車の社債というのも売り出されています。金利は低いですが。
しかし投資信託で買うのが一般的です。先進国債券インデックスとかです。
米国ではETFの形で株と同じように売買されます。
ではもう少し突っ込んだ質問で行きましょう。
Q1 債券投資は私達の場合どんなメリットがある?
株式はリターンは高いけど標準偏差も高く、時々暴落を引き起こします。
対して債券は標準偏差が低くて暴落もありません。リターンはその分低いです。
日本はちょっと異常ですが、米国では現在年率2.7%くらいが(税込み)配当として得られるので、インフレ率の2%くらいを帳消しにしてくれます。
大きく伸ばすオフェンスは株式に任せてデフェンスを受け持つ感じです。
または株式を買うまでの「待ち」「お金の置き場」として利用できます。
♧記事の途中ですが、米国株をドルで買う場合の「為替差益計算」についてご質問がありました。実際の計算は使う為替レートの問題とかで面倒です。なので一番簡単な方法をご紹介。
生の米ドルは持たずに常にMMFまたは下記の短期国債ETFのVGSHとしておくのが便利です。
これは楽天証券では米ドルMMFから直に米国株が買えるので有効です。
特定口座なら為替の計算は自動でされるので不要になります。
SBI証券でもすぐにドルMMF→ドルに転換できます。
Q2 金融機関はなぜ株式より債券を好むのか?
金融機関がわれわれ個人より圧倒的に有利な理由ですね。
これどうお考えですか?
「リスクが少ないから」
「危ない資産で運用するわけにはいかないから」
・・・
そうですね。そのとおりです。
金融機関も特に保険会社なんかは株式でも運用します。
しかし債券の方が好まれますね。
なぜでしょう?
しつこいですね、はい
金融機関には通貨下落リスクが ない!
私達の場合は日本円を保有していると毎年インフレ率だけ目減りしていきます。
しかし金融機関はこの通貨の目減りは関係ないです。
預かったお金だからです。
例えば、せっかくなので大きく1兆円預かったとしてそれが目減りしても返すときには減った1兆円を預金者に返せばいいからです。
実際は運用先がなくて、日銀の当座預金にわんさかお金が積まれていますね。
この一部にマイナス金利を適用しているわけです。
だから銀行はまったくお金には困っていません。
困っているのは運用先がないことです。
だから競争になって日本国債の長期金利が0%とかマイナスとかになっても買い手があるわけです。
債券は金融機関が買うのであまり「おいしい話」は転がっていません。対リスクのコスパはあまり良くない感じです。だから標準偏差が高めのものを選んでもリターンはそれほど良くありません。
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日本で買える古いものを見てみると
さて日本で買える円建てでなるべく古い(投信は古いほうが他が同じならポイント高い)投信を探しました。他にもあるでしょう。
私が見つけたのは「三井住友外国債券インデックスファンド」です。HPは→
外国債券インデックスファンド|三井住友トラスト・アセットマネジメント
2001年2月22日設立と20年近い運用実績があります。年間経費0.77%です。
世界の先進国の国債を中心に運用しています。北米50%欧州46%と比較的欧州が多めの感じ。日本は除いてあります。円ベース。最近は分配金も出していないのもグッド。
運用成績は
2012年2013年2014年の運用成績がすごくいいのは為替が円安に振れたせいでしょう。
チャートではこんな感じ
18年で2倍強になっています。現在21463円。やはり為替の影響が一番大きいようです。リーマンショックではかなり下落しています。その後もアベノミクスまでは4年ほど低迷。長期保有はじれて難しかったかもしれません。
ヴァンガードの債券ETFで債券の基礎を学ぶ!
円建てでは為替の影響が大きいので米ドル建てで債券の本質を確認したいと思います。
手数料が安いので有名なバンガード社には債券インデックスETFが11本あります。
投資対象になるのを重点的にピックアップしました。
ヴァンガードの債券のページはこちら→バンガード・インベストメンツ・ジャパン - 商品案内 - バンガードETF
種類で3つ、期間で4つの10つの設定と別格なのが1つあります。
<国債系4つ> 一番信用が高い
短期国債VGSH、中期国債VGIT、長期国債VGLT、超長期国債
S,I、Lは期間を表します。これはあとも共通です。
<総合系4つ>
短期債券VSV、中期債券BIV、長期債券BLV、そして別格のBND
<社債系3つ> 適格債券です。
短期社債VCSH、中期社債VCIT、長期社債VCLT
ここではBNDと同格というかもっと大きなAGGという有名な総合債券ETFがありますのでそれも対象です。経費はBNDが0.035%とAGGの0.05%より少し安い。規模はAGGが大きい。迷ったらAGGがおすすめ。
一気に表でじゃ~ん
ティッカー | VGSH | BSV | AGG | BIV | BLV | VGLT | |
短期国債 | 短期債券 | 総合債券 | 中期債券 | 長期債券 | 長期国債 | ||
経費率 | % | 0.05 | 0.07 | 0.05 | 0.07 | 0.07 | 0.05 |
8.8 | 22.6B | 70.9B | 13.0B | 4.4B | 1.6B | ||
SEC利回り | % | 1.6 | 1.75 | 2.22 | 2.15 | 2.98 | 2.21 |
12ヶ月年利回り | % | 2.28 | 2.29 | 2.7 | 2.75 | 3.41 | 2.47 |
政府系割合 | 100 | 63.3 | 64 | 52.5 | 40.2 | 100 | |
平均ヂュレーション | 年 | 1.9 | 2.7 | 5.6 | 6.3 | 15.64 | 17.9 |
平均残存期間 | 年 | 2 | 2.9 | 7.3 | 24.4 | 25.3 | |
10年で | ドル | 11210 | 12237 | 14518 | 16042 | 21059 | 19436 |
ベータ値 | 0.28 | 0.43 | 1 | 1.16 | 2.58 | 3.32 | |
リターン10年 | % | 1.15 | 2.03 | 3.59 | 4.77 | 7.55 | 6.87 |
10年標準偏差 | 0.81 | 1.38 | 2.89 | 4.12 | 8.66 | 11.36 |
さてごちゃごちゃしてますね。平均ディレーションは平均残存期間に調整を加えたもの
目標別に絞りましょう。
1 安全第一、お金の置き場にするには?
短期債券がいいです。VGSHかVSVですね。
利回りはインフレ率をカバーできるかどうかというレベルです。
しっかりカバーしたければBSVがおすすめ。期間が短いのでリスクは少ないでしょう。標準偏差σも1.4と株式の10分の1のレベルです。ドルをこれにしておけば為替差益の税金の申告も不要です。利用場面は多そうです。
2株式の上下をカバーするには?
それではどのくらい上下してきたかを見てみます。
まず株式との比較です。S&Pと総合債券のAGGです。2004年の設定時からです
リーマンショックも関係ないですね。年に12回配当を払います。それで吐き出すので本体の上昇は緩やかです。しかし本体も16年で10%の上昇です。金利がそれだけ低下したのですね。→この現象が「債券バブル」と呼ばれる。バブルがあるのは株式だけではないんですね。
これだとデフェンス力としては期待できます。
つまりインフレ率をカバーしながら株の暴落にも関係ないという仕組みです。
3 債券どおしの比較では?
5年で比較しました。見にくくてごめんなさいです。
標準偏差が大きい方から長期国債VGLTが黄色で11.4
桃色が長期債券で8.7、中期債券BIVが紫で4.0中期総合債券AGGが青色で3.1、短期債券BSVが水色で1.5、短期国債VGSHが0.95でだいだい色
「債券は安定している」とは言えない
ですね。種類によります。
「揺れが小さいこと」を求めるなら長期債券は避けた方がいいです。
国債と言えどもというか国債が揺れが特に大きいです。
長期国債は去年は夏までずっと買われています。長期金利が1.5%を割った時です。
現在は長期金利が1.8%とやや上昇したので少し下げました。
「今後の金利は予測できない」と凡人には言えます。プロでも難しいでしょう。
だとすると金利で上下が激しい長期債券は凡人には不適です。
結論からすると債券は上下動が小さくて暴落に強いもののリターンは小さく稼ぎには向いてないです。オフェンスは株式に任せてデフェンス力あるいは税金申告対策として利用するのが素人・凡人には向いているようです。
ここまで長い記事をお付き合いくださいましてありがとうございます。
凡人の私とは対象的に「能力高め」のもみあげさんに債券の記事があります。
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それではあなたの素晴らしい投資を願って記事を〆ます。「良い投資を!」
今回の動画は→https://youtu.be/TPnRcBWJXbI
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