大幅下落のアマゾンは大丈夫?長期的には問題ない。
先週のアマゾンの大幅下落で動揺が広がっています。不安になっている保有者の方が多いです。保有の可否と先行きについて考えます。以下は私の見方です。
- 高PER企業の宿命
- 仮想通貨とはまるで違う。実態はしっかりしている。
- 期待が高すぎた部分を調整中
- ミスをしたのはアナリストたちで会社ではない
- 適正価格はどのくらいか。
- チャートでバブルの部分を探る
- 結論
- 対処の仕方は
高PER企業の宿命
他のハイテク起業は今回の下落で予想PERが非ハイテクとほぼ同じに落ち着きました。また最新のナスダックの予想PERも17.2と割高感を解消して「適正株価」になっています。その中でアマゾンは依然としてPERが75と高いです。なのでバリエーションからはわかりません。尺度がないために「売り仕掛け」に弱いと言えます。高値からの下げ幅も33%と大きくなっています。このことから保有に自信が持てなくなっている保有者の方が多いようです。
仮想通貨とはまるで違う。実態はしっかりしている。
今年暴落したビットコインなどの仮想通貨と比べる人までいます。仮想通貨はその価値が見る人によりどうにでも取れ根拠が不明でした。だから暴落してもだれも「割安」の判定をすることができないのです。しかしアマゾンは実体がある企業でしかもeコマース、ウエブサービスでのリーディングカンパニーです。売り上げもあるし今年は利益もぐっと増えています。そのために予想PERも今年初めの頃の300から4分の1にまで減少しています。
期待が高すぎた部分を調整中
アマゾンの快進撃は「アマゾンエフェクト」と呼ばれ米国の小売店を次々と倒産させ、閉店させさらには店舗用不動産の下落まで招いている「革命的」なものです。そのため社会問題にもなっています。その期待感はアナリストたちのミスリードを招きました。会社側のガイダンスよりも高い予想が出されそのため2Q3Qと実際の売り上げが予想を下回りました。10/25発表の3Q決算ではそのことへの失望から大幅下落となりました。その時の私の記事がこちら。
ミスをしたのはアナリストたちで会社ではない
会社のガイダンスの範囲には収まっているので会社が不誠実だったりウソをついているわけでは決してありません。さらには会社側は4Qの減速、来年の減速も発表しています。過大な期待をあおり株価を引き上げたのは、アナリストであり市場なのです。
適正価格はどのくらいか。
PERではかれない企業です。このことが不安感をあおり投資家の売りを誘っています。その中には「売り仕掛け」もあるでしょう。以下くどいですがていねいに見ていきましょう。会社のHPから作成した年度ごとの推移です。
AMZN | 年間 | |||||||
売上 | 営業 | 利益 | EPS | |||||
2012 | 61093 | 676 | -39 | -0.09 | ||||
2013 | 74452 | 21.9 | 754 | 11.5 | 274 | -802.6 | 0.59 | -755.6 |
2014 | 88988 | 19.5 | 178 | -76.4 | -241 | -188 | -0.52 | -188.1 |
2015 | 107006 | 20.2 | 2233 | 1154.5 | 596 | -347.3 | 1.25 | -340.4 |
2016 | 135987 | 27.1 | 4186 | 87.5 | 2371 | 297.8 | 4.9 | 292 |
2017 | 177866 | 30.8 | 4106 | -1.9 | 3033 | 27.9 | 6.32 | 29 |
2018 | 237462 | 33.5 | 11088 | 170 | 8786 | 189.7 | 17.79 | 181.5 |
この4Qは売り上げが8.3~20%の範囲にまで下がるとの会社のガイダンスです。そうすると確かにここ3年の伸びが大きく減速します。しかし営業利益、純利益は飛躍的な伸びです。これは利益を出さない経営から利益を出していく経営にかじを切っていることを示しています。「これからは売上の高成長は鈍化するけどその分利益を出すからね」と言えます。これをどうとらえるかですが、私はどの高成長企業もとおる道だと思います。だって分母が大きくなるので%では鈍化するのは避けられません。さらに言えば伸びが止まったとか、赤字になったとかの話ではないです。しかしこれではいくらが適正価格かはわかりません。伸びている企業であることは確認できました。
チャートでバブルの部分を探る
会社側は2Qの決算予想ではすでに減速を示していました。去年の秋からが傾きが急です。それ以降は「期待感が押し上げた」とみれば以前の緩やかな伸びでたどると今くらいの株価になります。ほぼ異常な期待感は調整したと感じます。次は6か月チャート
9月からの下落は「社員のわいろ」問題のスキャンダルによるものです。それを消化して10月からの下落はハイテク全般の下げによるもの。10月25日に3Q決算が出て売上が1%予想に届かず急落。その時の記事では1か月の後11/25日には1500~1800ドルに落ち着くのではないかとしました。確かにその時点では1700ドル周辺まで持ち直しました。その後の世界的な株安で再度下落。上値と下値が切り下がって下落トレンドです。いったん反発しそうですが前回の高値を上回らない限りチャート的には下降トレンドは継続します。投資家心理は悪化しており戻りでは相当な売りが出そうです。1800ドルに戻るのは当面難しそうです。
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結論
長期的には上昇してきたし今後も伸びるだろから問題ない。
しかし、株価は過剰な期待感から「かさ上げ」された。ほとんど解消されたと思うがどこが適正な株価かは正確にはわからない。
下落トレンドで当面の下落を示唆している。短期的には反発もあるだろう。
対処の仕方は
1 長期保有方針の方→そのまま保有で問題ないかと思います。
2 下落トレンドを嫌う方→いったん売却するのも手段だと思う。
先週の下落が激しいのでいったんリバウンドが普通だと思うが、クリスマスとか年末とかの時期なのでしばらくは予想がつかない。なので半分とか四分の一とか区切って売るのが精神的に楽かも。
補足 2月発表の4Q決算で会社の保守的な予想を下回るようだと、さらに売られる可能性はある。予測はyahoo financeより。
4Q | ##### | ||||||
売上 | % | 営業 | % | 純利益 | % | EPS | % |
29328 | ##### | 591 | ##### | 214 | ##### | 0.45 | ##### |
35747 | 21.9 | 1108 | 87.5 | 482 | 125.2 | 1 | 122.2 |
43741 | 22.4 | 1255 | 13.3 | 749 | 55.4 | 1.54 | 54 |
60453 | 38.2 | 2127 | 69.5 | 1856 | 147.8 | 3.75 | 143.5 |
71810 | 18.8 | 3000 | 41 | -100 | 5.56 | 48.3 |
以上です。明確な適正株価が示せてないですが難しい会社なのでこの程度でご勘弁を。投資判断はあくまでご自分でなさってください。
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