上昇相場の経験・意識をいったんリセットのすすめ
2020年5月18日(月)記
11年続いた上昇相場はいったんリセットされた
下はS&P10チャートです。
◇今後上昇軌道に戻る可能性もなくはないです。
しかしコロナの問題はまだ片付いておらずいったんリセットされたと見るほうが自然です。
一方ナスダックで見ると景色はかなり変わります。
◇「長期上昇トレンドはまだ崩れていない」と見れます。
つまりS&Pとナスダックでは見方が相当変わります。
ダウでは
それでは3指数の残りのダウを見てみましょう
◇こちらはS&Pより明確に上昇トレンドは途切れたと見れます。
→したがって結論は
米国株はナスダックを除いて「長期上昇トレンドはリセットされたと見れる」
したがってナスダックと他の2指数の「割高感」は相当に差があり
予想PERはS&Pで21くらい、ダウで20くらいに対してナスダックは29程度と差が開いています。(ブルームバーグ)
なのでナスダックは除外して考えますね。
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さて「上昇相場がリセットされた」とすると何に注意すればいいのでしょうか?
成功体験にとらわれないのが生き抜くコツ
成功体験にとらわれて自信過剰になり改革を怠りだめになった企業は多いです。
企業だけでなく日本軍は日清日露の成功体験での過剰な自信がマイナスになったという指摘もなされています。もともと米国と戦う必要はなかったという意見ですね。
だから成功体験はそれはそれで良しとしてどこかでリセットする必要があります。
株式投資ではどうなのかを過去のバブルとその崩壊で見てみます。
リーマン時はどうだったのか?検証してみる
下は1996年から2011年のダウのチャートです。
前の2000年ころの山がITバブルとその崩壊です。後ろの山が2007年のバブルとその後のリーマンショックの暴落とその立ち上がりです。
◇これを見るとリーマンショックの急激さが見て取れます。
◇リーマンショックが起こる1年前の2007年9月にピークをつけています。
だから今回とはかなり違いますね。
リーマンショックが起こった時点での株価は10861ドルで高値の14000ドルからは22.5%下の位置です。
今回のように高値からいきなりドスンときたわけではないです。
→長期上昇トレンドがすでに終了したとして逃げていた人も多い!
だから市場に残っていた人たちは
「以前から見ると安い」
「また上昇するに違いない」
という意識が強かったのですね。
今から見るとチャート的にはかなり明確な下げトレンドを形成していますがね。
わかりやすいチャートでも逃げなかった人が多かったのはなぜか?
リーマンショックでは機関投資家もひどい傷を負いましたが、個人の方が被害としては大きかったです。
その理由として
(1)下げトレンドになっているにも関わらず買い増した人が多かったこと
が上げられます。
これはそれまでの上昇トレンドの残像が残っていたためでしょう。
「どうせ上がるのなら安い今は買うのがチャンス」という意識です。
(2)いったん下げ止まった11月から買いに入って2番底の下落にあったこと
11月にいったん下げ止まります。
「よし下げ止まった出動!」というので買向かった人も多かったのです。
私の知り合いもこの時日経平均先物で致命的な傷を受けました。
チャートを見れば、「再浮上する」という読みは当たっているのですが時期が少し早すぎたのですね。
(3)底を打ってからは「怖くて買えない」状況が長く続いた
2009年の1月にバフェットさんがテレビで
「米国株は安くて買い時だよ!」
と言いました。
「まだ早いだろ!」「ナイフが落ちている途中だし」
と誰もが思いました。
ほとんどの人が心理的に固まって買いに動けませんでした。
直前の下げが頭から消えなかったんですね。
これからわかることは
1 直前の残像を引きずる傾向がある
→リセット出来ない
2 リセットできていれば「リーマン前の売り」「リーマン後の買い」は容易に実行できたかも知れない。
私は売らずにすみました。しかし中国株・米国株を買いましたが「思い切った投資」ではなくて小さいものに終わりました。
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ITバブルでの教訓は?
上記のチャートを見るとその一つ前のITバブルはそんなに大したことがないように見えます。しかしこれはダウのチャートだからですね。
ハイテクが多いナスダックで見るとこちら
◇リーマンよりも強烈なバブルとその崩壊です。
◇こちらもいったん下げ止まってそして上昇してから大きく下落しています。
4500から1500まで3分の1に下落しています。
あとから見ると「最初の下落で売っておけば何の問題もない」と思えちゃいますね。
しかし「当事者には別の景色が見えているんですね、きっと」
「上昇し続けた残像をリセットできてない」のでしょうね。
さて2つのバブルとその崩壊を見てきましたがS&P500でみると景色が全く変わります。
ダウやナスダックよりも公平に表されているようです。
下落幅は大雑把に(日でのピークは除いて)
ITバブルが1500→850 43%下落
リーマンが1600→750 53%下落
です。
これを見るとピークを過ぎたらむやみに買い増すのは危険だとわかります。
かといってボトムを過ぎたら「恐れずに買う」ことも大切です。
いったいどう考えたらいいのでしょう?
いったんリセットして中立に戻る必要がある
過去を引きずってリセット出来ないでいると手痛い失敗で「投資が継続できない」リスクがあります。
バフェットさんは航空株売却でリセットを実行!
今回多くの人が驚きましたがすべての航空株を損切りしました。
さらにリーマン時に買ったゴールドマンの株も85%売却してリセットを進めています
代わりに現金ポジションが過去最大級に積み上がっています。
フル投資が常態の投資会社としては異例です。
多くの人は「航空株売却」を「バフェットの見込み違い」「失敗」ととらえています。
しかし現在が新しい相場の出発点だとしたら「過去を精算して現金から出発する」のは良い選択に見えます。
5年とか10年経った時にバフェットの判断は「先見の明があった」と言われる可能性は高いです。
私達もいったんリセットして頭を冷やしてみる
11年続いた強気相場で「傾向としては買い気が強い」と思います。
「長期的には米国株は上昇する」のは確かですが、それは20年くらいの期間で見た場合です。10年でもいいですが。
5年くらいで必ず今より上昇していると断言はできません。ましてや2、3年では。
上のチャートが今後1,2、3年どういう経緯をたどって上昇軌道に入るのかはだれにもわからないのです。
上昇相場での成功体験は自分・他人ともにリセット
だからご自分の成功体験はもちろんのこと他の方の成功体験に引きずられるのはマイナスが大きいです。
「おれはこれでこんなに儲けたぞ!」みたいな
それは随分シンプルでかつ乱暴な方法でも可能だったからです。
一つの成長銘柄への一本集中投資でも達成できました。
AAPL、MSFT、V,MA、GOOGL、AMZN・・・どれをとっても11年の上昇相場で10倍以上になっています。
だから2009年に5百万とか1千万とか集中投資した人は簡単に「億り人」になっています。
それはとても素晴らしいことですが、今それをやっても今後の11年間で10倍以上になると思うのは「アマすぎ」でしょう。
これからは「自分の力で」「自分の成功ストーリーを計画」しなければなりません。
しかし状況は複雑で今すぐにそれらの計画が浮かぶとも思えません。
ならば「自分なりの方式」が固まるまでは「大きな投資」は避けたほうが過去の例からは賢明です。
パウエル議長が言っているように「米国経済は復活するしこれから伸びる」のは確実と思いますがその道筋は近場ではわかりません。
長期の投資は、インデックス積立とかは手を緩める必要は全然ないですが、新規の投資は焦らずにじっくりでも遅くないなと感じています。
もちろん下落時にうまく買えた方はそのまま保持で問題ないですが。
今日はここまでです。
それではみなさまの投資の着実な進展を願って記事を〆ます。
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