【コメントへのご返事】円高になれば株もプラスサムじゃあないのではないか?円高対応は?
seiyaさんからコメントをいただきました。
いつもながら素晴らしい記事です。 ただ1点、疑問点があります。 株式投資がプラスサムとの事ですが、米国株を購入した場合、ドルbaseで見れば長期的に見ればプラスサムかもしれませんが、この先円高が進行すると日本円ではプラスとすら言えなくなるのではないしょうか? 年5%の成長を本当に20年、30年先まで維持できるのであれば、円高が進行してもプラスにはなるとは思いますが。。。
5 10年以内の期間では為替の影響でマイナスになることはある
<ご返事>
おほめいただいてありがとうございます
さて為替についてはご指摘のようにやっかいですね。
この機会に為替と投資の関係を整理してみたいと思います。
1 20年を越える長期投資では為替の影響はほぼなくなる
インフレ率が高い通貨は下落します。
したがってインフレ率を除いて考える必要があります。
日本と米国でもインフレ率は違います。米国が2%くらいで日本は1%くらい。
米国のインデックスに投資した場合はインフレ率を除いて実質5%くらいが見込めます。過去の平均より少し低く手堅く見積もっています。
そうすると掛けて72になると資産は2倍になりますから15年で2倍、30年で4倍、45年で8倍になります。
このくらいになると為替の影響は少なくなります。
だからリタイアまで十分に期間があれば為替の影響は考えなくて済みます。
またリタイアしてもすぐに投資を崩さなければならないわけではないのでリタイアまでを期限にする必要はないです。そうすると投資期間はさらに伸ばすことができます。
ここまでの結論
リタイアに向けての長期投資でのイデコや積み立てNISAでの「インデックス投信」の「定期積み立て」は為替は考えずに実行して問題ない。
2 10年以下では為替の影響を受ける
下は過去10年のドル円チャートです。
80円から120円までの幅があります。
2012年の暮れのアベノミクスから2年で50%も円安が進みました。
政治の影響も受けます。通貨安に誘導したほうが自国経済には有利なことが多いです。
80円で米国株に投資すれば為替のフォローもありウハウハですね。
しかし逆なら向かい風になります。
均せば条件はイーブンなのでしょうが米国の人よりも条件が一つ増えます。
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3 最高なのは円高、株安時に集中投資
日本円はスイスフランと並んで世界の通貨の中では不況時にドルより強い特殊な性質があります。
つまり不況時、株安時に投資すればダブルで割安で仕込めるのです。
そういう面では当の米国の人より有利と言えます。
しかしこれを狙いすぎると「暴落時をひたすら待ち続ける」ことになり投資の機会を逃す可能性が高いです。
したがって暴落時の「買い作戦」は準備しつつも、日頃の投資は別に考えて実行する必要があります。
米国の人よりも難しい条件が増えることも日本人が海外投資に積極的になれない大きな原因でしょう。
♣不況時、暴落時に円高になる原因は「キャリートレードの巻き戻し」と学習効果
「えっ、日本円てドルより強いの、こんなに借金多いのに」と思うのが自然です。
NHKでは「安全資産とされる円を買う動きが強まり円高が進みました」と放送しています。この放送がわからなくなる原因ですね。
「キャリートレード」については後で書きます。
4 投資心理とは為替は逆の動き
投資したいのは株価が上昇している時ですから円安ドル高です。
逆に投資を手仕舞いたい時は円高ドル安になっています。
だから投資家心理のままに行動すると、ドル高時に投資してドル安時に円に戻すと為替分がマイナスになります。
日本人の場合はハードルが高くなります。
対策としては
大幅下落で株を売るのは本人が売りたくて売るのではなくて「売らされる」のです。
だから大幅下落時にも売らなくて済むような投資内容にしておく必要があります。
私は
1 インデックス中心にする
2 売らない方針で望む→利益確定では稼がない
を立てています。
これは個人個人で対応するしかないように思います。
5 ドル円の適正価格はいくらか?
知りたいところです。購買力平価という考えがあります。同じものがいくらで買えるかということです。シンプルなのでは「ビッグマック指数」や「スタバカフェラテ指数」があります。
「世界経済のネタ帳」のサイトにあります。ページのリンクは
これによると2019年7月時点で米国5.74ドル日本3.59ドルでかなりの開きがあります。もっとも多少はサイズや内容に差があるのかも知れませんがそこはわかりません。
これだと60%も円は安いことになります。
外食では欧州を初め外国の人が日本の食事を「安くて美味しい」といっています。
かなり差があるのは確かでしょう。最近では中国や東南アジアの人も「安い」と言ってますね。
年寄りの身としては余計なことをせずに安いままであってほしいものです。
購買力平価には種類がいくつかあるのでややこしいですが85円~100円位が実勢のようです。
これで考えると10から20%ほど実態より円安状態です。
6 円高時は異常な状態
日本は金利が安く国内では融資先がないこともあって金融機関も貸出先を探しています。先日もみずほが韓国企業への融資が多額というニュースがありましたね。
だから日本円→海外で運用
の円キャリートレードは通常の状態と言えます。すなわち現在の状態です。
ところが不況でリスクオフになると投資を手仕舞い円に戻す「リワインド、逆戻し」が強烈に起こるので急激な円高になります。
さらにコレは何回も起こって学習されているので、機関投資家、ヘッジファンド、投機筋もこぞって円買いに走ります。もっとも間違いがない投機ですね。
どちらを通常の状態と見るかですが、円高時は期間も短く異常な事態と言えます。
だから将来も円高は起こるでしょうが「恐れる」必要はないと思っています。
7 株安・円高に遭遇したら
景気の循環、景気後退は資本主義では定期的にあることです。
だから株安・円高のダブルパンチは想定しておく必要があります。
一番かっこいいのはそして効果的なのは「株価大幅安、円高」時に株を買いまくることです。心理的にはおおいに抵抗がありますができれば大きなリターンになります。
現実的なのは「何もしないで通過を待つ」ことです。
利益もないけど損もありません。
一番良くない、しかしやりがちなのが円高・株安時に投資を手仕舞うことです。
円安時に仕込んでいれば為替で相殺されて利益はなくなってしまいます。
ここまでの結論
1 10年以内の期間では米株も為替の影響でマイナスになることはある
2 景気変動、為替変動は定期的に起こりうる
3 日本人は不況時は株安・円高のダブルパンチを受ける
4 円高株安時は日本からの投資はダブルで有利だ
5 株安・円高時に売らなくてもいい内容にしておく必要がある
補足 将来の円高については世界不況によるものを除けば起こる確率はほぼないと見ています。人口が減少して世界の中でのシェアが下がる日本の通貨が上がる要素がないからです。反対に米国は人口も増えるし、日本よりは安定しているように思っています。
不十分ですが以上です。またコメント下さい。
それではみなさんの良い投資を!
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