物価上昇率2%の意味。格差拡大。恩恵を受けられない人はどう対処する?
2017年10月10日(火)記
今日はお好み焼きの日だそうです。ジュウジュウで。
長い間、関西風のお好み焼きの存在を知りませんでした。あれもおいしいですね。自分でも作るのですが、なかなかきれいな形になりません。キャベツの入れすぎかも。あっ、もちろん広島風です。といっても豚ひき肉を使う独特のものです。油が出てパリッと揚がる感じです。
さて、「シュレッダー矢」さんに教えてもらった、高橋洋一氏の「日本を救う最強の経済論」を読むうちに長い間疑問に思っていたことが解決しました。感謝です。私の疑問は
「日銀が目標としている2%の物価上昇率の根拠は何だろう?」
というものです。物価が2%上がったからといって私たちの生活には、マイナスこそあれ、プラスには感じられなかったからです。高橋氏は明快に、
1 インフレ率が0%だと労働賃金が企業収益を圧迫する。
2 インフレになることにより、賃金等が相対的に割安になり、企業利益が増える。
3 2%に特に意味はない。0%~10%なら問題ない。昨今、金利も安く、成長率も低いので、2%くらいが国際的なコンセンサスとなっている。
疑問がすっきりと氷解しました。企業利益のためだったのですね。なるほど、政府・日銀が言いたがらないはずです。しかし企業のためとはいえ、企業業績が向上すると
1 株価が上昇してムードが明るくなる。
2 人手不足になり、失業率が低下する。新卒の就職率が向上する。
3 遅れて、賃金も上昇する。
4 GDPが増大する。
といいことが多いように見えます。一番大きいと思えるのが、「GDPの増大」です。政府が頑張っていることの証拠になります。
さらにGDPの増大は、対GDP比の債務の減少を意味しますから、財政が楽になります。いいことずくめのように見えます。損をする人はいないのでしょうか?
物価上昇の恩恵を受けられない人もいる。
競争の激しい業界や消費関連はおいそれとは価格を転嫁できないかもしれません。インフレのメリットを享受できない人もいるということです。でももっとはっきり損をする人たちがいます。
現金・預金などの金融資産保持者は目減りする。
毎年2%は目減りしていく計算です。5千万円なら年100万円。これは形を変えた税金と言えます。日本では1800兆円の半分以上が現預金ですから、年36兆円が召し上げられる計算です。
「金融資産への課税」を唱える人もいますが、すでに違う形で実行されています。あるいはされようとしています。
金融資産の60%ほどはシニア世代が持っているそうです。若い方からは「持ちすぎだ」と思われているので、問題ないとも言えます。
しかし、中身で見ると、企業経営者を含む富裕層は、株式や不動産への投資の割合が多いです。現金だけ持っている層は比較的余裕がない層が多いですから、格差はますます拡大することが予想されます。
幸運にも、日銀の意図に反して現時点では、2%の上昇はしていませんが、今後は要注意です。
インフレは現代社会では仕方がない。要はどう対処するか?
と考えます。その方が社会が円滑に回るのですから。紙のお金以前では、金や銀の量以上の経済発展は出来なかったそうです。不自由だったわけです。金貨をたくさん発行してもその品位が悪ければやはり物価は上昇しました。江戸時代には財政難その他から小判の大きさも金の含有率も減らす改鋳がたびたびおこなわれました。
物価は実質の金の量に比例したのでその分インフレになりました。
全部で9回行われたそうですが、小判の重さと金の含有量は、ほぼ100年ごとに選ぶと
1601年慶長小判 4.76匁86.8% 金4.13匁
1736年元文小判 3.5匁65.7% 金3.5匁
1837年天保小判 3匁56.8% 金1.70匁
★1860年万延小判 0.80匁56.8% 金0.45匁
金の量はどんどん減っています。差が幕府の通貨発行益となります。現代の輪転機の方が簡単です。幕末の万延小判になるともう無茶苦茶です。二十数年しかたっていないのに一気に四分の一ほどに減価しています。黒船の来襲と開国の影響を思い知らされます。
銭で給金をもらう人たちの暮らしは改鋳のたびに苦しくなったことがわかります。
通貨が金や銀の鉱物の量とリンクしなくなると、制約はなくなり(といって1971年のニクソンショックまでは形だけは続いていましたが)発行は自由になりました。
経済が拡大しやすくなった代わりに、通貨の拡大と減価は不可避です。
通貨の減価が年に2%程度なら良しとすべきなのでしょう。受け入れて対策を考える方がもっと大事です。
どの世代も格差は開いていく
現役世代でも属している業界によってインフレ政策の恩恵には濃淡があります。政策がGDPの容積を拡大を目指す限り、この差は拡大します。
金融資産の生かし方でも大きな差が生まれる。
余裕資金の運用をどうするかでも差がついてきます。ピケティ教授の研究の通り、株式での運用効率は労働での上昇率を上回るからです。一般に高学歴、高所得の人の方が、不動産や株式での運用の割合が多いですから、二重に格差が生まれ格差は拡大することになります。
米国などではすでに起きている格差の拡大ですが、日本も今後この問題が大きくなると予想します。実際割を食っている人はかなりの割合でいると思います。
パイを大きくすると同時に格差を少なくする政策が求められますが、そういう政治の問題は別にして、自衛の対策がどの世代にも必要と感じます。
リスクがあっても株式市場に投資する以外にない。
インフレ率を上回るのが、一部の不動産と優良企業の業績しかない以上、防衛策としては、「株式投資」が最有力です。
私も、リタイアのもっと前から本気で勉強して、株式投資をしっかり実行していれば良かったと悔しく思います。本業の仕事以上に大事だったです。しかし、過去には戻れませんから現時点でベストを尽くすだけです。
以上、過去の内容と多少かぶるところがありました。
皆様のよい投資を!
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