退職時以降の投資対象は株式だけで十分な理由 退職時前後の投資のポイント(5)
こんにちは。今日は退職以降の具体的な投資対象についてです。
まず今までの投資実績によって大きく変わること。
それまでにやってこられた投資がうまくいっているのならそのまま継続で問題ないと思います。
問題は退職時前後で新規に始める場合です。
退職後の株式投資の目的をおさらいします。
(1)資産が現預金に偏らないようにバランスをとる。
(2)経済成長の恩恵を取り込む。
(3)将来の大きな変化に対してのリスクヘッジとして。
つまり大きく増やしていくという積極的なものよりも「守り」の要素が強いと思います。もちろん、それまでに攻めの投資をされてこられた方はそのまま継続で問題ないです。
<リスク資産は株式だけでいいと考える理由>
株式以外では、不動産、金、債券が候補です。
(1)不動産
退職すると時間が十分にありますから、それを利用して、不動産経営をするというのはいいかもしれません。
ただし不動産経営は「投資」というより「事業」という側面が強いです。
また、物件は世界に唯一なものを扱うので、何より経験と情報が重要です。
不動産屋に嘱託で就職したり、電気工事の免許をとって修繕も自分でやるとか、本気で取り組むのはいいかもしれません。
安易に参入すると金額が大きいだけに大きな損を被る危険性があります。
昨今も「かぼちゃの馬車」というシェアハウスでの被害が報じられました。
少額で不動産に投資するのなら東証にも上場されている「リート」という商品があります。こちらは株式に近く安全度は高いです。(損がないという意味ではありません)
不動産の難しさ
国、地域による格差が大きい。
景気、金利等の環境に大きく影響を受ける。
物件を見分ける「目利き」が必要だ。
結論
投資家の能力、経験で大きな差が出るので一般的ではない。
(2)金
ドルと反対な動きをすると言われています。
金利を生まないので高金利になると不利。
経済成長を取り込めるわけではない。むしろ経済危機の時に選好される。
しかしリーマン時には金も下落した。
売買益は申告の必要がある。株式のように特定口座で自動的に引き落としではない。手間がかかる。
買いと売りのスプレッドが株より大きい。
実際の預金封鎖とかの経済危機になった時に使用できるかは不明。
ロシア危機の時は偽物が横行して使えなかったそうです。
おつりはもらえないので「小さいロット」の延べ板や金貨も保有した方が安全。でも金貨は割高です。
結論
株式とかの投資ですでに十分に分散できている方が「さらなる安全」を求めるにはアリだと思う。
3 債券
これについての見解が一番分かれると感じます。
債券を押す人の意見は「株式と反対の動きをするからヘッジになる」というものです。
確かにリーマンなどでは、株式が半値以下に大幅に下落したのに債券の値下がりは小さかったです。
しかし株式と異なる動きをするとは言っても変動はあります。
下はバンガード長期債券ETFのBLVの10年チャートです。
年配当は3.98%です。毎月もらえます。
その代りS&Pがリーマン以降10年で3倍ほどの上昇なのに対して、30%ほどの上昇にとどまっています。
結論
(1)外国債券の場合為替リスクがある。
(2)値動きはかなりある。
(3)現在のような利上げ局面では下げ基調になる。
(4)リーマン以降、各国の金融緩和により金利が極限まで下がった。→
そのため債券は上昇した。ポイント;金利と債券価格は逆相関の関係にある。
(5)したがって現在の債券は相当な高値圏にある。
今後債券価格が大幅下落する可能性はある。
(6)これは米国債券だが新興国債券はさらに動きが激しい。
(7)株式とは異なる動きをするとは言え変動リスクがある点ではリスク商品である。
(8)今後も激しい動きが予想される。金利動向は予測不能。
ということで外国債券は特に新興国債券は保有する理由は見当たりません。
MMFは別。
ただし、ドルMMFとかは別で保有の理由があります。
それは
(1)生ドルでは金利がつかないがMMFでは1.5%程度の金利が付く。
(2)税金の申告が不要。特定口座であれば20.315%の申告分離課税を源泉してもらえます。
(3)したがって証券会社でドル転した場合は、使わないドルはMMFに入れたいものです。
(4)楽天証券ではドルMMFから直接米株、ETFが買えます。(資金でドル、MMFを含むにチェックを入れる)
実は株式と反対の動きをするのは日本円、スイスフラン
リーマンショックで株も債券も金も大きく下げる中で、相対的に上昇したものは、①スイスフラン②日本円でした。
理由はどちらも金利が他の通貨よりも低かったことです。
金利が低いので好況時には「キャリートレードの相手として借りられます」
不況になれば逆転するので、スイスフランや日本円は大きく上昇するのです。
大幅円高は日本経済に悪影響という理由で、リーマン時には日本株は米国株よりも大きく売られました。
日本円はわざわざ買わなくても通常日本人なら現預金で保有しています。
だから、株式のヘッジとしては日本円は最適だ。と言えます。
日本債券、日本国債で保有する方法もあるが・・・
日本国債で金利が年0.05%程度ですから、円保有との差はありません。
もちろん、日本国債や(個人向け)日本債券ETF(2510野村日本債券ETF)などで持つのもありですが、現預金のままの方が管理は簡単と思います。
今日のまとめ
退職後の投資は株式だけで十分といえる。
それでも海外債券を保有したいときの注意。
「株式とごっちゃになったものは買わない。」
投信の中には、株式と債券が一緒になっているものもあります。
動きが緩やかなので人気です。
しかし売却するときはセットで売ることになります。
だから、債券だけの投信で保有する方が「小回り」が効きます。
例えば、株式、債券投信を50%づつ保有しておけば、株下落時には株だけ売ることが可能です。
私もリーマン時に「株式投信」を「債券投信」に全額乗り換えてリーマンをやり過ごし、また株に乗り換えたことがあります。トータルではプラスになってありがたかったです。
株式投資としての対象の選び方については次回に書きたいと思います。
ここまで長文をお読みくださりありがとうございます。
お願い 下の米国株のところをクリックしてランキングにお戻りいただければありがたいです。